作家の工房めぐりは、九谷焼きのふるさとを訪れる醍醐味のひとつ。
九谷焼をもっと知っていただきたい。見学に協力いただける作家工房を紹介。
作家活動の優先を前提にご協力いただいています。都合によっては、工房見学のご希望にそえない場合もあります。
あらかじめ、ご了承ください。
洗練された染付の器で女性ファンが多い山本長左の工房。時には長左氏自らが、ろくろ成型から染付までの行程を丁寧に解説してくれる。1階にはろくろ形成と焼成窯、2階では絵付けが行われている。特に、いまではなかなか見られなくなった、伝統の型打ち成型の技に触れられるのは、ここ妙泉工房ならでは。
庭園を配したショールームには、伝統的な九谷意匠の作品から、現代生活のマッチした日常使いの器まで幅広い作品が並ぶ。瑛生氏は、大正時代から続く工房・美陶園の3代目。ショールーム隣の工房では、ご要望があれば絵付けなどの様子が見学できる。
色絵細密を得意とする、加飾の伝統工芸士。福永氏のどの作品を見ても表面が精緻な絵柄でびっしりと埋め尽くされている。直径6寸(約18cm)の絵皿を描くのに約1週間、大作になると絵付けだけで何ヶ月も掛かるという。工房は決して広くないため、多くの人たちを受け入れることはできない。創作の邪魔にならない範囲で年に数回、少人数での見学なら可能。
旧九谷村で再興され、後に山代に移築された「吉田屋窯」の本流を汲む窯元。大正時代に吉田屋窯の経営を受け継ぎ、寿楽窯となって3代目の嶋田寿楽が作陶を続けている。塗埋手に代表される吉田屋風の作風とは趣の異なる染付け祥瑞や色絵作品を得意とする。創作風景やろくろ場、ギャラリーなどの見学が可能。
深香陶窯は、伝統的な九谷の意匠や技法を受け継ぎ、そこに現代の息吹を加えた、斬新な作風で知られる。先代にあたる二代・浅蔵五十吉は、日本芸術院会員・文化功労者・文化勲章受章者。ここでは、作陶の流れや、二代、三代五十吉さんの大作などが並ぶ展示室が見学できる。
初代光仙は江戸期に、再興九谷窯のひとつ若杉窯(小松)で作陶をしていた陶工。明治に入り藩窯体制が解かれたことを契機に明治3年創業。以来、金沢で九谷焼窯元として活動しており現在で5代目となる。九谷焼の様々な作風を手掛けながら、光仙窯独自の作品も生み出している。金沢西茶屋街に程近い工房では、ろくろから焼成までの工程を見ることができる。リクエストをすれば、九谷焼の歴史から作陶工程まで細かく解説をしてくれる。大人数の場合は、事前に予約が必要。
明治17年開業の「長寿堂」の製造部門として開かれた窯。日常使いできる、本物の九谷焼を提供することが信条。九谷焼の伝統的な技術をベースにおきながら、現代的なオリジナル商品や企画品も多く、注文に応じて、オーダーメードの九谷焼きを作ってくれるサービスも。工房見学は自由。オープンな雰囲気の工房なので、九谷焼の敷居の高さが気になるという人でも気軽に見学ができる。